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東京は便利だ。歩いて5分以内にコンビニが3件くらいあるし、地下鉄なんて3分に1回やってくる。一方、都心で車の駐車場を探すのには苦労する上、やたらと駐車料金が高い。10分で300円のコインパーキングだって!? なんてクレイジーなんだ……。

そもそも筆者、小さいころから乗り物に全く興味がない。だから大学生になっても免許を取らなかったし、都心に住みだしてからは、必要性を感じようがないと思っている。

一方、生まれも育ちも東京である友人のJ君は、やたらとでかい車に乗っている。その車、必要? そのサイズになんの意味が? 10年来の友人だが、いまいちその魅力を理解できないでいた。そこであえて聞いてみようと思う。“東京で車に乗る”、その理由を。

乗らない理由は日常に/乗る理由は非日常に

「今週末、アメ車中心の集まりがあるから、行ってみる?」

J君に誘われるがまま、お台場のパーキングエリアで開催されるというそのイベントへ向かうことにした。道中の話題はもちろん、“車問答”だ。

彼は、「車はいじるものでなく、乗るもの」という考え方の持ち主。そして、車に乗らなくても日常生活になんの不便もない都心に、小さい頃から住んでいる。

「日用品を買うために車を出すことなんてないし、日常的にはいらないと思うよ。でも、俺はアウトドアの遊びが好きでしょ。それこそ、スノボとかサーフィンとか。そのとき、人を誘ってサクッと遊びに行くなら、車を持ってた方がいいわけで」

そこは、反論したい。レンタカーでもいいんじゃない?

「“自分の車”に、かけがえのない愛着を感じるんだよ(笑)。買い替えるときとか、しんみりするもん。この車であんなところいったなとか、その時彼女と喧嘩したなとかさ。たぶん、レンタカーで遊びに行くのとは比べ物にならないくらい、自分の車で過ごした時間は、思い出として心に残ると思うけどな」

その話を聞いていて思い出したのは、マンガ「ONE PIECE」で、麦わらの一味が最初の船・メリー号と別れるときのくだりだった。長旅でガタがきたメリー号を、それでも修理して乗ろうとするルフィたち。感動の場面だが、確かにメリー号が“レンタ船”だったら、あんな感動的な展開にはならないだろう。

「俺にとっては、“週末の遊びが自由になる”というのが、車に乗る理由。そこは貧乏な十代の時から、変わらないと思う」

そういわれると、少々合点がいった。なるほど、筆者が車に乗らない理由は、ことごとく“日常生活では不要”という注釈付きなわけだ。一方、彼は車に乗る理由を“非日常”に求めている。

「価値観は人それぞれだなぁ」などとなんとなく納得した頃、目的地に到着。定期的に開催されているというアメ車中心のオーナー会、そこには100台を超える車が集まっていた。20代、30代前半と思わしき人たちも多数で、思っていたより年齢層が若い。とはいえ、東京都内のナンバーは多摩か八王子が多く、J君のように23区内のナンバーを付けている車は、ごくわずかだ。

やはりJ君のような“都心の車好き”は少数派なのだろう。東京と車。その未来は……、そんなことを考えながら、芸術品のように美しい車を撮影しているうち、ふと気が付く。車に興味が沸きだしている自分に。

REPORTER&PHOTOGRAPHER

RYUTA TOMIYAMA
r.c.o.inc.代表。好きな食べ物はナン。好きな女性は飯島愛。好きな言語はJavascript。座右の銘は「もうしょうがない人ねぇ」。