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パリ、ルーブル美術館のミュージアムショップ「107Rivoli」。このショップ、いわゆる“美術館の売店”とはちょっと違う。展覧会のカタログやグッズ、アートブック、絵葉書などの定番品のみならず、オリジナルアクセサリーに食器、おもちゃetc. 世界中から集められた素敵な雑貨も販売されているのだ。その「107Rivoli」に、この6月からネコの顔……ではなく、“ネコの顔のカゴバック”が、加わった。

ブランドはKEORA KEORA。日本人の刺繍クリエイター、伊藤華織によるブランドである。「動物の顔が刺繍された“もこもこ”のiPhoneケース」といえば、「あ!」と思い当たる人もいるだろう。イセタンガールなど、さまざまなお店で取り扱われている“アレ”のブランドだ。

KEORA KEORAはなぜ、日本のみならず海外の人をも魅了し始めたのだろうか。クリエイターの伊藤華織(以下、華織)と、夫&ビジネスパートナーとして公私両面で支える伊藤幸太郎(以下、幸太郎)に、話を聞いた。

動物や“モコモコ”が好きという感情は万国共通

Q.なぜ動物モチーフにそこまでこだわるのでしょうか?

華織:小さいころから、一人で幼稚園のうさぎ小屋に行って、一日そこで過ごしたりするような子で。小学生のときに図工の時間で作ったものも、ほとんど動物の何かでしたし……。だから、大人になって「“ものづくり”をしよう!」となっても、動物をモチーフにするのが自然でした。

Q.ネコのかごバッグが、「107Rivoi」に置かれることになったきっかけは?

華織:2014年から、パリで毎年開催されているファッションの展示会「Who’s Next / Premiere Classe」に、出展し始めて。1回目の展示で、「107Rivoli」のバイヤーさんが足を止めてくださったんですが、その時はうまくいかず(笑)。2回目の出展で、「やっぱりやりましょう」と言ってくれて、去年のクリスマスシーズンからお取引が始まりました。3回目の展示に出したこのかごバッグも気に入ってくださって……というのが、経緯ですね。

Q.日本で、パリで。KEORA KEORAが支持される理由を自己分析すると?

華織:お店でKEORA KEORAのアイテムを見た方が、「目が合った」「連れて帰る!」という反応をしてくれることがあって。まるで本物の動物と出会ったときのような反応ですよね。私には、とにかく「動物の魅力をそのまま活かしたい」という気持ちがあり、何かを足したりデフォルメしすぎたりしないよう、日頃から注意しています。だから、そうした反応をもらえるととてもうれしいし、動物や“モコモコ”が好きという感情は万国共通だなとも感じます。また海外では、コンサバやモードといったジャンルを気にせず扱える点や、独特の色の組み合わせ、日本的かわいさを含むアイテムとして、評価いただけているようです。

Q.“日本的かわいさ”というお話がありました。KEORA KEORAが考える、「かわいい」の定義は?

華織:動物そのものから感じられる“かわいさ”、でしょうか。ちょっとマニア的ですが、例えばネコの上目遣いだったり、横になった時に伸びる無防備な体、まん丸になる手……、そんなところを見て、日々「かわいい!」と思っています(笑)。それを作品にしたいなと思うのです。

幸太郎:以前、華織に「かわいい」を理解していないと言われた事があって。「かわいいに勝る感情はないんだから」と。「かわいい」は、“キレイ”とか“美しい”を超えた位置にある、高次元の感情なのかもしれません(笑)。

今後はさらにファッションアイテムを拡充し、「身に着けることで自然に体温や動物に対する心の温度が上がるものを作っていきたい」と語る2人。現在は、秋冬に向けてキツネやネコをモチーフにしたファーバッグ、おなじみのもこもこiPhoneケースなどを準備中だ。某ブランドや某キャラクターとのコラボ企画も進行中とのことで、今後はさらに、“KEORA KEORAの動物たち”を、街で目にする機会が増えそうだ。

KEORA KEORA

刺繍クリエイター・伊藤華織によるブランド。日本大学卒業後、7年間Yahoo!JAPANにエンジニアとして勤務。エンジニア時代から自分のウェブサイトに刺繍作品を掲載しており、それを見たというパリのバイヤー2店から相次いで声をかけられたのがきっかけとなり、制作活動を本格化。ブランド名は、学生時代にアメリカ人の先生が、”カオリ”を正しく発音できないで”ケオラ”と呼んでいたことに由来する。

REPORTER

RYUTA TOMIYAMA
r.c.o.inc.代表。好きな食べ物はナン。好きな女性は飯島愛。好きな言語はJavascript。座右の銘は「もうしょうがない人ねぇ」。

PHOTOGRAPHER
YUKO MATSUDA