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街を歩けばそこら中にあるもの。特別目に留めるものではないもの、マンホール。しかし今なぜか、マンホールが“かわいい”“おもしろい”と密かな話題になっている。試しに、インスタグラムやツイッターで「マンホール」と検索してみてほしい。大量の“マンホール写真”が流れてくるはずだ。

デザインマンホール

なぜマンホールが“かわいい”“おもしろい”と言われているのか。その理由は、「デザインマンホール」などと呼ばれる特別なマンホールの存在に求められる。街で注意深くマンホールに注目してみよう。運が良ければ、その一部に、いろいろな柄や色がついているものを見つけられるかもしれない。それが「デザインマンホール」。市区町村などによってそのデザインは様々で、その土地の名産や観光スポットなどが描かれている。

石川県輪島市で見つけたマンホールには、大根、玉ネギ、魚などがデザインされていた。よく見ると、朝市のおばさんまで描かれている。実にユニークなデザインだ。さらには、お椀とお箸が描かれたマンホールもあった。ほんの数メートル離れた場所に異なるデザインのマンホールを見つけたら、「他にも違うデザインがあるのでは?」と探したくなるのが人情……というか、筆者は探したくなったのだ(笑)。
岩手県の久慈市、小袖海岸のマンホールには、「北限の海女」の文字と海女さんが描かれていた。もちろん本物の海女さんもいる土地だが、マンホールにも海女さんがいるというのが、なんだかおもしろい。

東京都立川市では、足元のマンホールに色鮮やかな花が咲いていた。これは市の花である「こぶし」。「こぶし」という花があることも、その花の形も、筆者はマンホールを見て知った。
東京都でよく見かけるのは「桜」のマンホール。なんてことない、よく見るデザインだが、「桜(ソメイヨシノ)」は都の花だ。よく見ると、都の鳥である「ユリカモメ」も隠れている。さらに、都の木である「イチョウ」もデザインされていた。マンホール1つに、これだけたくさんの“東京”がつまっているわけだ。

マンホールの楽しみ方

「旅に出たはいいがお金がない」なんていう、貧乏旅行をするときは、その土地のマンホールを“観光”してみてはいかがだろうか。その土地にしかないマンホールと出会う旅も、悪くない。
カフェに行ったら、おしゃれなスイーツをパシャリ。晴天の日に、キレイな空をパシャリ。それと同じように、変わったマンホールを見つけたらパシャリ。たまには“下”を向いて歩くのも悪くないかもしれない。