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昨年、Twitterである服が話題になった。「大人に向けたセーラ服」と「大人に向けた学ラン」だ。デザイナーは「ha | za | ma」の松井諒祐である。

「高校が私服校だったので、憧れていた」という彼が作ったこの服は、原宿界隈で大きなトピックになる。その「ha | za | ma」が、6月に2016-17AWコレクションを発表した。6月8日から14日にかけて、毎日新作ルックを自身のTwitterアカウントで投稿していくという、彼らしいスタイルでのお披露目。もちろん、ルックの撮影は、今回も盟友・安藤きをくだ。新作は、いずれも大きな反響に包まれて、ファンに迎えられている。

今回は、その「ha | za | ma」2016-17AWコレクションを、デザイナーの松井自身に解説してもらった。

松井諒祐による
「ha | za | ma」の2016-17AWコレクション・全作解説

01.シャツとドレスの二重装

今シーズンのテーマ、その根底に”音楽”があったので、ハーモニーと言いますか……、調和というキーワードから探った服です。そこで、シャツとドレスを合わせてみようかなと。一番のポイントは肩空きの部分。程良い色気とドレス要素、シャツ要素が自然に溶け込んでくれたように思います。

02.鍵盤ワンピース

テーマを端的に伝える服を作りたいと考えました。思いついたのは鍵盤モチーフ。とはいえ、チープになりがちなモチーフです。考えに考えた末浮かんだのが、黒地のワンピースに別生地で仕立てた鍵盤モチーフを置き、浮き上がらせるというデザインでした。このミニマル感は、切れ味があってかなりのお気に入りです。

03.止まない音のロングシャツ

僕は毎シーズン絵描きの竹谷嘉人(たけたに よしと)さんとコラボしています。この服は、ほぼ竹谷さんのセンスに託したものですね。竹谷さん独特の描き殴った感じが服の質感にマッチして、雰囲気のあるお洋服に仕上がりました。また、僕はレディース寄りのお洋服を作りがちなので、これはあらかじめ男性も着やすいものにしようと決めていました。

04.経年真価のセットアップ

「ha | za | ma」の定番シリーズです。ブランド初のコレクションとなった2014S/S、そのテーマは”リネン(理念)の解体”でした。どちらかと言えばカジュアルな素材であるリネンで、フォーマルなお洋服を作るシリーズです。今シーズンは蝶ネクタイ付きのバイカラードレスシャツを作り、コートも黒で合わせてよりフォーマル感の高いルックに。

05.枯れゆく華のワンピース

最初のテーマに、4コマ漫画がありました。僕はお洋服の宣伝でTwitterを良く使うんですけど、最近ネット4コマ漫画が流行っているなと。「服でもそういうこと出来ないですかね」なんて、竹谷さんと話しながら生まれたのがこのお洋服。右前裾の鮮明な赤いバラが”生”で、胸と後ろ裾、3個の白いバラが”死”をイメージしています。配置は日本的な”間”の美学ですね。

06.なびくコート

2015S/Sシーズンに発表した「なびくワンピース」のコート版ですね。なびくワンピースのイメージは、風に揺れるカーテン。こちらもだいぶ前からイメージはあったのですが、コートにするのは試行錯誤の連続で、発表するまでにかなりの時間を要しました。本生産の段階でも、少し修正を加えると思います。

07.揺らめくパンツ

とある生地メーカーさんから色んな生地サンプルを送ってもらったんですけど、その中に物凄くかっこいい生地があって。それをただひたすら服に活かしたいと考えた結果、出来上がったのがこのお洋服です。すごく薄手の……、でもかなりとろみというか高級感のある生地で、その軽さを活かした動きのある服になっています。

08.煙に巻かれたワンピース

僕の中では、煙といえばタバコの煙。そして、タバコには“洋風”のイメージを抱いています。じゃあ「和×洋→和服×煙」だな……と、そこまでのイメージを持って、竹谷さんへ相談に。でも、ただ和服に煙を乗せるのでは、意味合いとして弱い。2人で考えに考えた末出たアイディア、それが煙に帯の意味合いを持たせるというものでした。「名前と服のバランスも良い!!」と、即決でしたね。

09.水が奏でるカットソー

竹谷さんと”音楽”というテーマで話し合っている時、「コップに異なる量の水を入れて、その中に上から物を落とすと違う音が鳴る」という話がでまして。「この視覚的なモチーフはあり」という竹谷さんの言葉に、そのまま託して、デザインを仕上げて頂きました。ただただ、竹谷さんのセンスに乗っかったシリーズ第2弾ですね(笑)。

10.踊らされる運命のワンピース

裾のフレア部分、そのボリュームへの挑戦といいますか、1点集中で足せるだけ足したらどうなるか見てみたいというものでした。見た目にわかりやすいテーマ性のある服というよりも、シンプルにシルエットと動きで見せたいお洋服。毎シーズン、パイル地というかタオル地のワンピースを手掛けていますが、“その系列の服”でもあります。

7月に全国各地で展示・受注会を開催

6月下旬に大阪から始まった本コレクションの展示・受注会は、7月下旬にかけて全国各地で開催予定。7/9-10は名古屋、7/16-24は東京、7/29-30は広島、7/31-8/1は福岡で行われる。詳しくは「ha | za | ma」の公式Instagram及び松井諒祐のTwitterアカウントを参照してほしい。8/7までは、公式のウェブストアでも受注を受け付けている。秋冬、「ha | za | ma」の服を着たいという方は、ぜひチェックしてほしい。

松井諒祐

1989年生まれ。慶應義塾大学卒業後に、文化服装学院へ入学。服作りを学ぶ。在学中からいくつかのファッションショー、展示会を経験。2013年より自身のブランド「Matsui Ryosuke」を本格始動。2014年には「ha | za | ma」を立ち上げ、多くのファンを獲得する。

REPORTER

RYUTA TOMIYAMA
r.c.o.inc.代表。好きな食べ物はナン。好きな女性は飯島愛。好きな言語はJavascript。座右の銘は「もうしょうがない人ねぇ」。

PHOTOGRAPHER
KIWOKU ANDO